カトレヤ原種栽培方法|解説:橋本利太さん

ここで紹介しますカトレヤ原種の栽培方法はKTSカトレヤ原種愛好会のメンバーである橋本利太さんが2011年1月の例会時に講演されたものをホームページ用に編集したものです。この栽培方法は橋本さんがお住まいの兵庫県加古川市(近畿中部)の気候に順ずるものです。それぞれの地域・栽培施設等により栽培環境は異なるので、あくまでも一例としてこの栽培方法を参考にしていただければ幸いです。

橋本さんはKTSカトレヤ原種愛好会発足時からのメンバーで、カトレヤ原種の栽培に精通されています。ベテランの栽培家でありながら、常にさらに良い栽培方法を日々、模索・研究されています。その卓越した栽培技術により、多数の入受賞されています。

この橋本さんの栽培方法は基礎的な事柄から始まり、随時より詳しい内容に更新していく予定です。なお、一般的なカトレヤ(交配種等)の栽培方法については市販の栽培本をお勧めします。

カトレヤ原種の生息環境と栽培

カトレヤ原種
  • カトレヤの原種は、中南米の平地から2000m近い高山に至るまで幅広い地域に分布しています。樹木に着生するもの、岩石に着生するもの、強光線にさらされるもの、日陰で育つもの、高湿度の場所で育つもの、やや乾燥した場所に育つもの等、種類によって様々な環境で生育します。共通して言えることは、常に風が当たり、夜間、空中湿度の高いところに生育しているということです。
    また、同一種類中でも、幾分かの環境変化に影響を受けないものから、少しの環境変化で機嫌を損ねるものまで様々です。
  • 中南米に生息するカトレヤから見れば、日本での栽培環境は、夏は暑すぎるし、冬は寒すぎるのです。寒さについては暖房で解決できますが、夏の暑さの凌ぎ方に気をつけて栽培する必要があります。
  • 健康管理には、根の観察が一番大事。

温度

一般的にカトレヤ系は15℃〜30℃が最適生育温度で、生育に障害のない温度幅は13℃〜35℃です。
冬季は最低温度15℃を保つことが望ましい。換気扇は27℃以上で換気する設定にしています。5月中旬頃より10月初旬までは野外に搬出し、50%の遮光下で吊り下げて管理します。

高温性のカトレヤ類(望ましい最低栽培気温)

Violacea(18℃〜20℃) 
lawrennceana lueddemanniana warscewiczii mendelii カトレヤ苗(16〜18℃)

低温でよいもの(望ましい最低栽培気温)

L.purpulata L.jongheana(7〜8℃) L.anceps(8〜10℃) C.intermedia(5〜6℃)
※属名分類方法は現在変わっているが、旧表記の方が解りやすいので、ここでは旧表記を使います。

  • レーリアは、一般的に低温で越冬させた方が良い結果が出るものが多いが、低温多湿は嫌うので注意が必要です。

空気の流れ

  • カトレヤは気孔細胞が小さく、常に風が当たっていないとガス交換が出来ないので、撹拌扇などを使用し やわらかい空気の流れ(風速1m程度)が栽培室の隅々まで行き渡るようにします。
  • 鉢の詰めすぎは空気の流れを悪くするため、生育や花芽分化にも影響し、さらには、カイガラムシやハダニなどの病害虫の発生を招きます。隣の鉢と葉がふれ合う程度が理想的な間隔です。

水遣り

一般的にカトレヤは乾湿の差を激しくする方が生育がよく、潅水後の乾きかけの時に根をよく伸ばします。灌水時は鉢底から流れ出るくらい水遣りします。鉢の表面が乾いてから2日置いてから潅水します。

  • 潅水は、鉢内はもちろん、株全体に水をかけます。これにより、空中湿度を上昇させます。
  • 夏季の高温時期は、夕方(日没前)鉢全体に散水し、植物体および鉢の温度を下げてやります。
    冬季は朝10時頃に潅水します。夕方以後潅水すると、鉢の温度が下がり、カトレヤにとりよくありません。
  • 潅水の間隔は、私の場合、基本、夏季は3日に1回、冬は4〜5日に1回程度です。夏季の散水は晴天なら毎日散水した方がよい。
  • 鉢の大きさによって、乾き方が異なるので、鉢の置き場所や潅水量の調節など工夫が必要です。吊っている鉢は乾きやすいので、 luteora等、高湿を好む種類は吊らない方がよい。

施肥・栄養分

  • カトレヤは自然界では樹木に着生しているため、獲得する栄養分はごく僅かです。したがって根の吸肥力は抜群に優れており、濃度の濃い肥料の施用や多肥は根を傷めます。
  • 固形肥料は遅効性、液肥は速効性があります。N:P:Kの比率は、1:2:1が好ましく、液肥の場合は5:10:5のものが良いです。通常、草花などに 1000〜1500倍希釈で使用するものを、カトレヤの場合は3000〜6000倍に薄めて使用します。
  • 施肥時期は、リードの生長期に施用します。花期・休眠期は、施肥しないのが常識ですが、私は下記のようにしています。
  • 固形肥料(油粕+骨粉+魚粉)、液肥4000倍、アミノ酸肥料を施用します。
  • 固形肥料1個とアミノ酸肥料0.5gをお茶パックに詰め、鉢の表面に置きます。4号鉢で1個、5号鉢で2個使用します。3号鉢以下では使用しません。
  • 置肥の時期は、たいていの場合、植替えと同時に置きます。根の弱いバルブ株は、新芽が出て根を下ろしてから施用します。
  • 液肥は3月〜6月の4ヶ月間のみ、月に1〜2回施肥します。他の時期は施用しません。

植替え時期

  • 植え替えの時期は種類によって異なりますが、一般的には、2月〜6月中旬と9月中旬〜12月上旬が適期です。7〜8月と12月下旬〜1月下旬の植替えは、あまり望ましくありません。
  • 開花が終わって1〜2ヶ月が過ぎると新芽の活動が見られ、芽が5mmくらい伸長した時が一般に植替え時期です。種類によっては、盛夏にこの状態になることがありますが、その場合は9月まで待って植替えた方がよい。
  • 1年に2バルブ伸長する種(例: C.lueddemanniana)では、開花後の最初のバルブが活動した時がよい。
  • 特殊なものでは、 L.purpurataの場合、8月下旬〜9月上旬が植替え時期です。新芽の伸長期にあたりますが、この時期がベストなようです。
  • 苗を除いて通常2年に1回植替えます。大鉢の場合は3年に1回。
  • 注意したいことは、急に大きな鉢に植替えると、根の活動が止ったり、リゾームが間のびする。やや小さめの鉢で栽培する方が結果のよい場合が多い。

下記の種類は、植替えにやや注意が必要。

種  類 植え替えの注意点 植え替え時期
C.lueddemanniana 秋にも2回目の新芽が伸びるが、植替え不可。開花後がよい。 4月下旬〜5月上旬
C.trianae 植替え時期は2〜4月上旬。遅れると株が傷む。 2〜3月
C.warscewiczii 植替えを好まない。開花期にずれが出るので、芽が出始めた時。 9〜10月
C.aurea 植替えを好まない。小さく分けないように。 2月
C.dowiana 植替えを好まない。 2月
C.maxima 品種によって、開花時期が異なるので芽の状態を見て植替える。 2〜3月
C.luteora 小分けしない。植替え後、湿度を高くし、日陰に移す。 9月
C.intermedia 秋に株分けすると、春の開花期に花が少なくなる。 4月下旬〜5月
C.dormaniana 極細バルブのため、小分けしない。 2〜3月
C.violacea 植替え後、高温多湿。(特に空中湿度) 9〜10月
C.nobilior 植替えより、コルク付けの方が育ちやすい。 10月
Lelia 系のもの 植替えを好まないものが多い。  
L.pumila 新芽が上に伸び上がる性質があるが、根を完全に埋め込むと株を傷める。